あらすじ
46歳の救急外科医・高瀬真一は、医療経営者としても成功した人生を送っていた。
しかし成功の代償として、人より数字を見る人間になってしまっていた。
ある日、高瀬は事故により命を落とす。
次に目を覚ました時、彼は紀元前58年のローマ共和政末期にいた。
身体の持ち主は、熱病で死の淵をさまよっていた24歳の青年ルキウス・アエリウス。
人格は高瀬のまま。
しかし身体にはルキウスの記憶、家族への愛情、故郷の匂いが残っていた。
やがて主人公は、ガリア遠征を始めたばかりのカエサルと出会う。
感染対策。
野戦病院。
軍医教育。
兵站管理。
統計分析。
現代の知識を使い、軍団を変えていく主人公。
だがガリア戦争、内戦、カエサル暗殺へと続く激動の時代の中で、彼は気付く。
英雄は世界を変えられる。
しかし英雄は必ず死ぬ。
ならば必要なのは、英雄に依存しない国家ではないのか。
ガリア人治療師アリア。
首席副官ラビエヌス。
そしてローマ最大の英雄カエサル。
彼らとの出会いを通じて、一人の医師は「人を救うこと」と「国家を守ること」の狭間で苦悩する。
これはカエサルを救う物語ではない。
英雄がいなくても人々が生きていける世界を作ろうとした、一人の軍医参謀の物語である。