あらすじ
十四歳の夏、榛名冬吾は友人の手を凍らせた。
熱を別のエネルギーへ移し替える。それが彼に生えた能力だった。
生み出すのではなく、移すだけ。だから冷やした分しか撃てず、
移すたびにこぼれた二割が、必ず彼の内側に残る。
行き先のない熱を、彼は自分の膝に入れた。次は肺に、その次は心臓に。
そのまま焼け死ぬはずだった彼を拾ったのは、
背丈が胸までしかない、三百年生きた女だった。
「お主に足りぬのは訓練ではない。捨て場所じゃ」
三年後、能力者を管理する調律院が彼を迎えに来る。
放たれた技の名は「炉」。密閉空間の全表面を加熱し、
熱の捨て場所そのものを奪う技だった。
そして、その先で彼は出会う。
熱を運べるが、手放し方を知らない少女に。
彼女の限界は、百度。
頼るほど、彼女は沸点に近づいていく。