あらすじ
世界最強───。
その称号を持つ魔法使いは、たった一人しかいない。
その名は、ルシファー・ヴィーナシオン。
国直属の魔導局に所属する彼女は、数え切れないほどの魔族を討ち、幾度となく世界を救ってきた英雄だった。
人々は彼女を「希望」と呼ぶ。
彼女が戦場に立てば、誰もが勝利を確信する。
だから誰も疑わなかった。
彼女が時折見せる小さな震えも、苦しそうな咳も、「きっと疲れているだけ」なのだと。
――そして、当の本人さえも。
ある任務を境に、ルシファーの身体は少しずつ壊れ始める。
けれど彼女は、その異変の正体を知らない。
自分を静かに蝕み続ける《禁呪》が、その身に刻まれていることを。
それでも彼女は今日も笑う。
「大丈夫。」
その一言とともに、誰かを守るために魔法を放ち続ける。
使えば使うほど、終わりへ近づいているとも知らずに。
一方で、行方知れずとなった姉の足跡を追う中で、ルシファーは世界から隠された真実へと近づいていく。
なぜ姉は姿を消したのか。
《禁呪》とは何なのか。
そして、世界が「希望」と呼んだ魔法は、一体何を代償にしていたのか。
これは、世界を照らし続けた一人の魔法使いが、自らの運命と向き合う物語。
その光が誰かを救うたび、少女は少しずつ壊れていく。