あらすじ
「答案用紙の名前欄、点が一つの不足。それだけで私の世界は終わったはずだった――」
完璧に管理されたガラス容器(テラリウム)のように、模試の偏差値と母親の期待だけを頼りに生きてきた12歳のあかね。
受験に失敗し、逃げ込むように送り込まれたのは、スマホの電波すら届かない山奥の田舎村だった。
全校生徒わずか6人の小さな分校。
靴も履かずに駆け回る少年、図鑑を抱きしめる静かな観察者、東京への強い憧れを抱く少女……。
効率や正しさとは無縁の不揃いな仲間たちと過ごすうち、あかねの頑なな心は少しずつ解けていく。
しかし、猛烈な台風が村を襲った夜、未曾有の危機が訪れる。
暴風雨が吹き荒れる暗闇の牛舎で、孤立無禁となった子供たちと新しい命の誕生。
砕け散るテラリウムのガラスの向こうで、あかねが耳にした「生きている音」とは――?
都会のノイズに傷つき、自分の価値を見失いかけているすべての人へ贈る、魂の再生と感動の青春成長ストーリー。