あらすじ
壊れる場所は見える。
だが、原因も、直し方も分からない。
王国復興局の復旧官レオン・アーデンは、建物や地形に走る「崩壊の前兆」を見る固有スキル《断脈視》を持っていた。
しかし、攻撃も回復もできず、壊れかけた場所が見えるだけの能力は、何も生み出せないハズレスキルと評価されていた。
王都の祭典当日。
水路橋に迫る崩壊を見抜いたレオンは、命令に背いて人々を退避させ、大惨事を防ぐ。
ところが上層部は、自らの判断ミスを隠すため、命令系統を乱した責任をレオンへ押しつけた。
こうしてレオンは、王都から「復旧不能」と呼ばれるヴァレイン辺境領へ、事実上追放される。
赴任先の領都では、水路が壊れ、橋が落ちかけ、防壁は機能を失い、人々は土地を捨て始めていた。
最初に突きつけられたのは、崩壊寸前の主水路。
街に残された水は、わずか三日分だった。
《断脈視》が教えるのは、壊れる場所と、崩壊が広がる方向だけ。
原因も、正しい工法も、必要な資材も表示されない。
それでもレオンには、王国各地の災害現場で培った経験がある。
現場を調べ、記録を読み、人々の話を聞き、職人の知恵を借りる。
そして、領主、職人、兵士、住民たちを一つの目的へ向けて動かしていく。
攻撃も回復もできない。
それでも、壊れる前に人と土地を救うことはできる。
これは、誰にも評価されなかった復旧官が、仲間とともに滅びかけた辺境を再生し、自らの仕事の価値を証明していく物語。