あらすじ
高校一年生の**荷川取慧璃(にかわとり・さとり)**は、何もかもが少し退屈で、少し息苦しい、そんな日常を生きていた。
新潟の静かな街、学校、家、変わらない毎日。
特別な才能も、強い意志も、ドラマのような運命もないまま、ただ「このままでいいのか」という曖昧な焦りだけを抱えていた。
そんなある日、さとりは何の気なしに立ち入った薄暗い地下通路で、世界の“裏側”へと踏み込んでしまう。
そこに広がっていたのは、現実に重なりながらも、まるで人の感情がそのまま形になったような異界――逆世界(ぎゃくせかい)。
常識は通じない。
一度の油断が死に直結する。
しかも、そこで彼はかつて世界から消されたという存在、アヒルフェと奇妙な形で結びついてしまった。
臆病で、見栄っ張りで、けれどどこか夢見がちな少年と、皮肉屋で危険な“もうひとつの意識”。
ふたりは最悪の相棒として、歪んだ迷宮、静かな闇、そして心を喰らう脅威に立ち向かうことになる。
これは、逃げたいだけだった少年が、逃げ場のない世界でそれでも歩き続ける物語。
鏡の向こうで待っているのは、救いか、それとも――。
『鏡の挽歌』
現実と幻想の狭間で、自分自身を取り戻すためのダークファンタジー開幕。