あらすじ
紀元一世紀初頭、ローマ帝国の支配下にあるガリラヤ。湖畔の町マグダラで財産を受け継いだマリアは、七つの悪霊に苦しめられ、人々から「汚れた女」と呼ばれて孤立していた。夜ごと聞こえる声に追い詰められ、暗い湖へ身を沈めようとした彼女を救ったのは、ナザレのイエスだった。
イエスは七つの悪霊を追い出すが、マリアをすぐには故郷へ帰さなかった。空いた住みかを求めて悪霊たちが戻ってくる危険を見抜き、神の言葉と仲間との絆で心を満たすため、自分たちと同行するよう強く勧める。
マリアは家と商いを捨てるのではなく、得られる収益を宣教と貧しい人々のために用いる道を選ぶ。男性中心の弟子たちから反発されながらも、知性と実務能力を発揮し、守られるだけの女性から、仲間を支える一人の弟子へと成長していく。
しかし、イエスの教えが民衆の支持を集めるにつれ、ヘロデ王宮、神殿の祭司長、ローマ総督ピラトの警戒は強まっていく。地上の王として立とうとしないイエスに失望したユダは銀貨を受け取り、ついに師を裏切る。イエスは捕らえられ、十字架刑を宣告される。
多くの弟子が逃げる中、マリアはゴルゴダまでイエスを追い、その死を見届ける。心の奥では、かつて彼女を支配した声が「救いなどなかった」とささやく。それでもマリアは声に従わず、仲間の手を握ってその場に残る。
安息日明けの朝、マリアはイエスの体に香料を塗るため墓へ向かう。ところが墓は空になっていた。泣き続ける彼女の背後から、一人の男がその名を呼ぶ。
「マリア」
振り返った彼女の前に立っていたのは、復活したイエスだった。マリアは弟子たちのもとへ走り、「私は主を見ました」と告げる。疑いを向けられても、彼女はもう自分を見失わない。
かつて悪霊の声に支配されていた女性は、復活を最初に伝える証人となった。そしてマリアは、自分が受けた救いを次の苦しむ者へ手渡すため、新しい夜明けの中を歩き始める。