あらすじ
世界は現世、黄泉、隠世の3つの国に分けられる。
現世の国には人間が、黄泉の国には亡者が、隠世の国には現人神が住み、天界には神が、地獄には悪魔が、冥界には魂の管理人が住んでいる。
今回の物語は、現世に生まれた一人の人間が、赤い糸を辿って数多の輪廻の中を駆け巡り、辿り着いた終着点でのお話。
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桜「ねぇ君!迷子なの?」
彰良「…違うよ、人を探してるんだ」
どこと言うにはあまりにも殺風景な場所。周囲には何も無く、あるのはただ真っさらで静かな空間だけ。
桜「誰を探してるの?」
彰良「知らない…でも、大事な人」
執念。それは論理的な説明が難しく、人間が強い想いを抱く時、想いを抱いたその物に対しての強い意思、人は時にそれを、執念と呼ぶ。
桜「ふぅん…じゃあ、一緒に探してあげる!」
残念ながら、彼女が少年の探している人間を探し出せる事は無い。少年は探し人の名前すら知らず、性別はおろかどこにいて、どんな人なのかも知らないのだから当たり前だ。
しかし、それでも探し続けているのは…恐ろしい程に紡がれてきた、執念のせいだろう。
彼女が差し伸べた手を取った少年は、これから先に待ち受ける不幸なんて、まだ知らないまま。
この出会いはその一端に過ぎず、彼女はほんの些細な通り道に過ぎない__はずだった。
蒼衣「お客さんかい、桜」
少年が彼に出会うことさえ無ければ、きっと…また違った未来が、待っていたはずなのに。
蒼衣「おや、私のせいだって言いたいのかい」
トリスト「……誰もそんな事は言っていない」
1つのテーブルを囲み、2人が向かい合わせに座って、洋菓子に合う紅茶を啜る。
蒼衣「トリスト、君は傍観者側かと思ったよ」
トリスト「…弟の不始末を兄が片付けるのは、仕方の無いことだ。お前の弟も、やってくれたな」
蒼衣「あの子は上手くやったさ、それを咎めるのは私の役目じゃないし、何より…君よりは楽だよ」
神に対する物言いではない。たかが人間のくせに、達者な口には皮肉が込められている。
蒼衣「敬語でも使うべきかい?」
トリスト「…ふん、さっさと用件を話せ」
蒼衣「…なら遠慮なく、取引と行こうじゃないか、トリスト」