あらすじ

作業療法学生の三好里奈は、大学へ通いながら、家事、母の世話、車いすで暮らす弟・晴人の生活まで一人で支えている。 つらくても、頼まれても、責められても、里奈が口にする言葉はいつも同じだった。 「……大丈夫」 幼い頃に起きたスキー事故で父は亡くなり、晴人は車いす生活になった。里奈の右腕にも傷が残ったが、母は事故の原因を里奈に重ね続けている。 四週間の実習の配属先は、事故後に里奈と晴人が入院していた病院だった。 そこで里奈の指導者となるのは、寡黙な無精ひげの作業療法士・宮本。 宮本は、患者をすぐに助けない。励まさない。答えを先回りして教えない。 里奈には、宮本が「何もしない人」に見える。 しかし宮本が守っていたのは、患者自身が困り、考え、言葉にし、自分で選ぶための時間だった。 誰かを支えることと、その人の人生を代わりに背負うことは、同じなのか。 見えない傷を抱えた実習生と、寡黙な作業療法士。 臨床と家庭の間で、里奈が自分自身の見えない傷に気づき、自分の人生を取り戻していく医療ヒューマンドラマ。

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カクヨム
カクヨム2026/07/27
  • 現在の作品見えない傷跡 ――語らない仕事 実習生・里奈の記録