あらすじ

王都の路地裏に、《危険呪具修復》とだけ看板を掲げる小さな店がある。店主のリゼルは、廃棄寸前の呪具を預かるエルフの修復師。彼女が見ているのは、壊れた箇所ではない。 ――直した瞬間、何が戻ってくるのか。 着た娘から姓を奪う花嫁衣装。 防いだ傷を別人へ移す盾。 最後の命令だけを逆に実行する人形。 壊れた呪具は危険だ。けれど完全に直せば、失われていた呪いまで蘇ることがある。 そんなリゼルの店へ、王都呪具管理局から若い処分官フィアが派遣されてくる。直せるかを見極めるリゼルと、直したものを持ち主へ返してよいか判断するフィア。二人は作業台を挟んで衝突しながら、呪具を修復し、改造し、封印し、ときには完全に壊していく。 やがて二人は、別々の呪具に同じ修復痕が残されていることに気づく。 二度で足りる場所を、三度縫う。 それは破壊の痕跡なのか。それとも、直してはいけないものを止めるための、名もない職人の手仕事なのか。 直せることと、返してよいことは同じではない。 これは、修復する女と廃棄を決める女が、危険な道具の最後の行き先を選び直す物語。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/07/27
  • 現在の作品危険呪具専門のつくろい屋~直せます。返せるとは言っていません~