あらすじ
深夜二時、会社の椅子の上で止まった。三十七歳、独身、職業プログラマー。
最後に考えたのは「デプロイ途中だったんだけど」だった。
転生した先で神様がくれたのは、剣でも魔法でもなかった。
「あなたにあったスキルを用意しました」
「効果とか、制限とか」
「ご自身でお確かめください」
八年かけて確かめた結果、できたのは《画面を見なくてもコマンドを打てる》こと。
それだけ。しかも動かすには計算機が要る。自分で用意しろという。
視界の右下には「接続台数 0/2」。
部屋にあるのは、父さんが遺した二十年前の Macintosh が一台。
財布には四百八十円。
速さは繋いだ機械で決まる。台数は同時に考えられる数。
どっちも金がいる。そして小学五年生は、パソコンを売ることすらできない。
だから、直すことにした。
――地道に一台ずつ増やしていく、現代SF。