あらすじ
登場人物紹介(1~5話)
・マスター(セージ・シェルターの社長)
BAR『賢者の隠れ家(セージ・シェルター)』を営む四十路のマスター。
22年この街の夜を背負ってきた本物のプロ。傷ついた若者や迷える父親に寄り添う、優しき男。
周りからは「完璧な賢者」と崇められているが、その正体は『ぼく勉』の真冬先生をこよなく愛し、欲望の前傾姿勢でケツを丸出しにしながら日夜パソコンと向き合っている男。
彼の語る高尚な哲学は、すべて「賢者タイム」という名の事後の静寂から絞り出された残りカスである。
・誠司(せいじ)
中学二年生の娘を持つ父親。BARの常連。
若き日に妻を亡くし、男手一つで紬を育て上げた。
最近は紬との距離感に悩み、自分の言葉が届かない無力感に苛まれていた。
だがマスターとの会話によって、娘の青春の悪役から、娘の未来を照らす「魔法のレンズ」を授ける父親へと見事にジョブチェンジを果たした。
マスターの脳内がピンク一色であることは死ぬまで知らない。
・紬(つむぎ)
誠司の娘。中学二年生。
定期テストを前に「因数分解なんて人生で一ミリも使わない」と絶望していた思春期真っ盛りの少女。
お父さんが持ってきた「一杯の水」の向こう側に広がる世界の広さを知り、少しだけ大人になって再びシャープペンシルを握り直した。
・拓海(たくみ)
24歳のクリエイターの卵。
SNSでの意図しない炎上と、匿名アカウントからのバッシングにより、胃の奥が凍りつくような恐怖を味わっていた。
マスターから救いの言葉を受け取り、自分の物語の主人公として再び筆を執る強さを得た。
・蓮(れん)
『賢者の隠れ家』で働く若きホープ。
不器用で真面目な性格。来月からフランスの製菓学校への留学を控えていた。
幼馴染の希望への想いを隠すためにグラデーションカクテルを作るような、無自覚天然直球男。
カウンターという境界線を越えて希望の両手を包み込み、後にパリで彼女の名前を冠したデザート『エスポワール』を完成させた。
・希望(のぞみ)
蓮の幼馴染で、一番の「相談役」であり看板娘。
蓮の夢を応援するため、「応援団長」「ただの友達」という仮面(フィルター)を被って寂しさを押し殺していた。
麗華の背中押しもあり、ついに仮面を粉々に叩き割って涙の告白を果たす。
フランスでは現地の人と笑顔で冗談を交わすほど逞しくなり、蓮の「世界一の有能なパートナー」となった。
・麗華(れいか)
『賢者の隠れ家』の先輩バーテンダー。
ちっちゃくて可愛い小悪魔系。カウンターに立てば大人の色気でお客を手のひらで転がす夜のプロフェッショナル。
蓮と希望の「一ミリの揺らぎ」を完全に透かして見抜き、希望に「相談役の仮面なんてさっさと叩き割っちゃいなさい」と最高のパスを出した影の功労者。