あらすじ
戦火の中で育った少年アッシュの願いは、世界を救うことではない。ただ、家族同然の親友ハンスと明日も生きることだった。
ある日、アッシュの前に一匹の黒い蜂が召喚される。やがて蜂は、ハンスの危機をきっかけに、美しい女性マイトレーヤへと姿を変えた。
「私の坊や」
彼女はアッシュの願いを叶えるためなら、軍隊すら退ける力を持っていた。しかしその純粋すぎる愛は、命令をひとつ誤れば、大切な者さえ奪いかねない。
軍は彼女を兵器として求め、教団は女神として崇め、民衆はアッシュを英雄として祭り上げようとする。
やがて明らかになるのは、かつてマイトレーヤが別の青年を「巣主」と呼び、その願いからザルガド王国が生まれたという過去だった。
なぜ初代王は歴史から消えたのか。
なぜマイトレーヤは、アッシュにかつての主を重ねるのか。
これは、英雄という運命に抗い、友を守ろうとする少年と、失った主の面影を追う一匹の蜂が、本当の願いを見つける物語。