あらすじ
伯爵令嬢セラフィーナ・ヴァレンティアの専属侍女ミラは、十年間、主人にすべてを捧げてきた。
セラフィーナは、誰からも愛される清廉な令嬢で、やがて聖女に選ばれるだろうと、王都中が彼女を称えていた。 ミラも、誰より近くで主人を慕っていた。
セラフィーナは、平民の自分を伯爵家へ引き取り、病気の弟に薬を与え、読み書きまで教えてくれた恩人。
けれど、それはすべて偽りだった。
王国では、神や精霊から与えられる特殊な力を《祝福》と呼ぶのだが、祝福を持たなかったセレフィナは、聖女になるため、孤児や奴隷から祝福を奪う禁術を繰り返していたのだ。
そして、ミラの弟もその犠牲者の一人だった。
真相を知ったミラに、セラフィーナは微笑んで告げる。
「あなたを侍女にしたのは、いずれ罪をかぶせるためよ」 禁術の発覚を恐れたセラフィーナは、すべてをミラの犯行に偽装する。ミラは、スケープゴートだったのだ。
ミラは、十二人の子供を殺した魔女として捕らえられ、火炙りの刑に処された。
――次に目を覚ました時、彼女は十二年前のヴァレンティア伯爵邸にいた。
その身体は、病によって八歳で死んだはずの伯爵家の次女、リリア・ヴァレンティア。
セラフィーナの異母妹だった。
リリアは生まれつき強大な《精霊の祝福》を持っており、それに気づいたセラフィーナに、その力を奪われていたのだった。
まだ、誰一人殺されていない。
前世では手の届かなかった者たちを味方につけ、ミアはリリアとして、セラフィーナの計画を一つずつ先回りして潰していく。今度はもう、あなたのために死んだりしない。
「ずっと、仲のよい姉妹でいましょうね」
「もちろんです、お姉様」
――あなたがすべてを失う、その日まで。