あらすじ

「嘘つき……。そんなこと言うなら、どうして私の前から消えたのよ」 京都の老舗和菓子屋『綾月』で企画職として働く28歳の佐伯葵(さえき あおい)は、三年前から止まったままの恋を抱えて生きていた。 手帳の中に大切にしまわれているのは、東山の神社で引いた一枚の「恋みくじ」。 そして、その直後に「もうお前を愛していない。好きな奴ができた」という酷い嘘を吐いて突然姿を消した、幼馴染で元恋人の橘薫(たちばな かおる)の面影だった。 二度と誰も好きにならないと心に決めていた葵の前に、ある朝、新しい和菓子職人として薫が現れる。 海外や東京で実績を重ね、若手エースとして招かれた薫。 かつての愛おしい面影を残しながらも、冷徹でビジネスライクに振る舞う彼に、葵の心は激しく乱される。 自分を捨てたはずなのに、葵の好みをすべて覚えており、陰ながら過剰なまでに自分を気遣う薫——。 「関係ないでしょ! 三年前、私のことなんか好きじゃないって言ったのは誰なの!?」 積もり重なる悲しみが限界を迎えた激しい雨の夜、静かな町家で、薫の口から「三年前に吐かれた嘘の真実」が明かされる。 火事で負った重度の火傷、失われかけた職人としての未来、そして「葵の夢や人生を自分の怪我で縛りたくない」という切なすぎる理由——。 舞い落ちる夜桜の下、ほどけてしまった運命の糸が、本当の愛の言葉と共に再び固く結び直される。 古都の片隅で繰り広げられる、切なくも温かい大人の再会・純愛ストーリー。

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小説を読もう2026/07/27
  • 現在の作品桜散る夜に、嘘をひとつ