あらすじ
まず断っておくが、私は泥棒ではない。徴税官である。――王城の壁の隙間に住む古株妖精ピンは、夜ごと厨房の蜜酒をひと嘗めだけ頂くのを誇りに生きてきた。掟は二つ。「人間に姿を見せない」「盗むのは腐るほどある物だけ」。ところがある夜、酒庫で恐ろしい密談を聞いてしまう。王女の祝いの樽に毒を仕込む、と。しかも毒味役は、妖精たちに気づきながら黙って蜜をひと匙残してくれる、下働きの娘ターシャだった。姿を見せずに、どうやって「毒」のひと言を伝える? 掟と恩義の板挟みで、豆粒ほどの徴税官たちの大作戦が始まる。皮肉屋の妖精が軽口まじりに語る、笑って最後に少し泣ける、真夜中の同盟の物語。