あらすじ
目を覚ました男には、自分に関する記憶がなかった。
名前も、年齢も、この場所へ来た理由も分からない。
吹雪に閉ざされた山荘。
そこにあるのは、食料と衣服、暖炉、そして一冊のノートだけ。
本もない。
新聞もない。
時計もない。
地図もない。
外と繋がる手段は何一つ存在しない。
まるで誰かが、自分から「世界」を取り上げたように。
男は、生き延びるため、そして自分を失わないために日記を書き始める。
しかし、日記を書き続けるほどに、ひとつの疑問だけが大きくなっていく。
私は世界を忘れたのか。
それとも、世界が私を忘れたのか