あらすじ
この世界では、人間の信念や生き方が、異能――命題《テーゼ》として現れる。
世界の法則と異能を研究する最高学府・帝都神律大学へ入学した黒瀬零。
彼の命題《テーゼ》は、世界から押しつけられた結論を一時的に保留する未証明《アンプローヴン》だった。
そんな零には、誰にも信じてもらえない記憶がある。
三年前まで、自分には黒瀬灯という妹がいた。
しかし、写真にも戸籍にも他人の記憶にも、灯の痕跡は一つも残っていない。
世界のあらゆる記録が、彼女など最初から存在しなかったと証明していた。
それでも、零だけは灯を忘れていなかった。
妹の存在を証明するため、大学に隠された謎を追う零。
やがて彼は、公式記録には存在しない《第零学部》へ辿り着く。
そこで待っていたのは、灯を世界から消したと告げる、もう一人の黒瀬零だった。
どちらが本物なのか。
灯を消した選択は、本当に間違いだったのか。
一人を犠牲にすれば世界が救われるとき、それでも本人の選択を残すべきなのか。
零たちの問いは、やがて一つの大学、一つの世界を越えていく。
無限の世界を査読し、正しい仮説だけを採択する、終端なき上位観測機構。
そして、その観測階序という枠組みだけでは捉えられないまま、あらゆる世界・法則・選択へ唯一の最終回答を強いる観測主体。
世界そのものが灯の存在を誤りと断じても、零はその答えを受け入れない。
敗北も、消滅も、終焉も。
自らが受け入れない限り、決定された結論ではない。
これは、世界から消された妹を取り戻すため、正しいと採択された世界へ異議を申し立てる物語。
学園異能バトル×論理多世界。
唯一解へ抗う、未証明者《アンプローヴン》の反証が始まる