あらすじ

「……樋口くん、久しぶり。相変わらず、何を考えてるか分からない顔してるね」 30歳を迎えた同窓会の夜。 樋口朔(ひぐち さく)は、高校時代に不器用なすれ違いの末に別れた初恋の相手・小久保紬(こくぼ つむぎ)と15年ぶりに再会する。 しかし、連絡先すら交換しないまま、二人はそれぞれの日常——別々の仕事、別々の街へと戻っていった。 現実では二度と交わることのない、二人の人生。 だがその夜。朔が趣味で密かに続けている、顔出しなしの音声生配信『午前二時の迷子たち』を始めると、流れるチャット欄に見知ったアカウント名が現れる。 『夜のくじら』——それは番組の初期から、誰にも言えない本音を書き込んでくれていた常連リスナーだった。 『サクさん、聞いてください。今日、15年ぶりに昔の好きな人に会いました。相変わらず最低で、不器用で……やっぱり、大嫌いなままでした』 現実では遠く離れた場所にいる元カノが、深夜、画面の向こうで僕の声を聴き、リアルタイムで本音を打ち込んでいた——。 「正体を明かせば、この唯一の繋がりすら消えてしまう」 罪悪感と未練から本当の自分を隠したまま、マイク越しに彼女のコメントへ答え続ける朔。 言葉を扱うのが好きだったはずの僕たちは、いつからか配信ラグみたいにどこかかみ合わない。 二度と戻らない青春と、前に進む君へのビターで切ない物語。 ※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません

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小説を読もう2026/07/27
  • 現在の作品夜のラジオだけが、素直になれない僕たちの繋がりだった