あらすじ
魔王が討たれ、長きにわたる人族と魔族の戦争は終わった。
誰もが、これで平和が訪れると信じていた。
しかし数日後、世界各地に異次元へとつながる亀裂――『異界の門』が出現する。
門から現れた侵略者たちは、この世界では肉体を保つことができない。ゆえに彼らは、戦争で命を落とした無数の死者たちの遺骸へ入り込み、生者を襲い始めた。
さらに明かされたのは、魔族こそが世界の均衡を保つ存在であり、魔王討伐へと人々を導いた“神”こそが、すべての戦争を仕組んだ異界の侵略者だったという真実。
国々は滅び、世界人口は三分の一にまで減少。
かつて憎み合っていたヒト、エルフ、ドワーフ、獣人、魔族は、生き残るために手を取り合う。
絶望の中、連合国は異界の軍勢を押し留めている唯一の街を発見する。
黄昏の街――トワイライト。
そこでは、世界樹に祝福されたエント族の青年、アトワイヤ・ユグドラシルが鎮魂歌を奏でていた。
彼の歌には、死者の身体へ巣食う異界の魂を引き剥がし、苦しむ魂を安らかな眠りへ導く力があった。
だが、異界の門を封じるために歌う間、アトワイヤは無防備となる。
彼を守るために集められたのは、戦争によってすべてを失った五人の英雄。
勇者の娘、光剣マリアンヌ。
エルフの王女、大賢者ローズ。
ドワーフ族の英雄、鋼鉄拳ガルドルフ。
黒狼族最強の戦士、黒い牙グラン。
そして、討たれた魔王の娘、魔神剣アリーシャ。
勇者の娘と魔王の娘。
かつて敵だった者たちは、死者に奪われた故郷を取り戻すため、同じ歌を守り、同じ敵へ剣を向ける。
死者へ安らぎを。
生者へ明日を。
異界の神へ、この世界からの拒絶を。
これは戦争を終わらせる物語ではない。
終わった戦争に、本当の終止符を打つ者たちの物語。
世界最後の遠征部隊――『聖歌隊』の旅が始まる。