あらすじ
【あらすじ】
198X年。大学二年の六月。僕が講義中にノートへ描いていた「音のしない海」を覗き込んできたのは、クラスの人気者・神谷千夏だった。
黄色いメモ用紙に連絡先をねじ込まれたあの日から、僕の退屈だった夏は鮮やかに色づき始める。
エアコンのない古いアパート、3分間のレコード、防波堤からの飛び込み、砂浜に描いた似顔絵。
千夏は言った。「この空さ、借り物だと思わない?」と。
そして九月。彼女は理由も告げず、僕の前から姿を消した――。
残されたのは、一通の手紙と、片方だけのビーチサンダル、そして掃けないままの床の砂。
借り物の夏を過ごした二人の、甘く切ないレトロ・青春ラブストーリー。
【登場人物】
高瀬 涼(たかせ りょう):語り手。波風を立てず、物事を「いや」から考えてしまう消極的な大学生。
神谷 千夏(かみや ちなつ):明るく自由奔放だが、どこか影と刹那的な雰囲気を纏う少女。