あらすじ
口下手な子爵令嬢ヴィオレットには、誰にも明かしていないもう一つの顔がある。
町で評判の代筆人《リラ》として、依頼人がうまく言葉にできない思いを、手紙にする仕事をしているのだ。
ある日、ヴィオレットのもとへ、婚約破棄状を書いてほしいという依頼が届く。
依頼人は、彼女の婚約者ヒューゴ。
そして手紙の宛名は――ヴィオレット本人だった。
しかも依頼内容は、
「破談の原因は彼女にあることにして、借金三百枚は慰謝料と相殺したい」
という、とんでもないもの。
ヒューゴは、ヴィオレットが代筆人《リラ》だとは知らない。
口下手な彼女なら、嘘を書いた婚約破棄状を送りつけても、何も言い返せないと思っているのだ。
いいでしょう。
ご依頼どおり、婚約破棄の手紙を書いて差し上げます。
ただし、《リラ》の文章には嘘を書かない。
そして、自ら署名した言葉は、ときにどんな告発よりも雄弁な証拠になる。
口ではうまく話せない令嬢が、ペン一本で婚約者の嘘を暴き、自分の言葉とお金と人生を取り戻す、痛快異世界恋愛短編。
※婚約破棄/お仕事令嬢/ざまぁ/誠実な公証人/ハッピーエンドです。