あらすじ
王国の闇を暴く陰謀論系配信者、クロウ。
新聞、公文書、三流ゴシップ誌――実在する情報を好き勝手につなぎ合わせ、今日も助手のミラを呆れさせながら、とんでもない陰謀論を配信している。
そんな彼が目をつけたのは、ローデリック・アルトベルク男爵の殺害事件。
事件後、男爵の妻、嫡男、領内の商人という三人が、互いに相談することなく、それぞれ別の相手へ男爵の暗殺を依頼していたことが判明する。
一体、誰の依頼によって男爵は殺されたのか。
クロウが導き出した答えは――財政難に陥った王国の秘密暗殺機関が、三件の依頼を一件へまとめ、三人分の報酬と相続税をまとめて回収したという「国家的殺人事業」だった。
もちろん、根拠は薄い。
クロウ自身も、ほとんど配信を盛り上げるための大風呂敷だと分かっている。
しかし、彼が適当に並べた事実の中には、なぜかいつも真実の一端が紛れ込んでいる。
三人の暗殺依頼は、本当に同じ場所へ流れ着いていた。
そして、誰にも見つからず男爵を殺した実行犯は、今も事件の起きた領地に潜んでいる。
馬鹿げた陰謀論で人々を振り回し、助手に突っ込まれ、視聴者を笑わせながら――クロウは鋭い観察力と強引な推理で、なんだかんだ殺人事件の核心へ迫っていく。
陰謀論は、だいたい間違い。
けれど、その中に混ざったわずかな真実が、誰も見つけられなかった犯人を追い詰める。
これは、真相よりも巨大な陰謀を語りたがる配信者が、適当な推理で事件を引っかき回しながら、最後にはなぜか解決してしまう、ファンタジー・ミステリーコメディ。