あらすじ
「この、人殺し!」
鉱山事故の補償額を伝えた王太子妃候補リディアは、夫を亡くした女性からそう罵られた。
だが、決定書にリディアの署名はない。王太子も大臣も決めた責任を負わず、権限のない彼女だけを窓口に立たせていたのだ。
その夜、王太子フェリクスは告げる。
「君との婚約を解消したい。けれど相談役として、これからも僕を支えてほしい」
十一年間、決めた者の代わりに恨まれ続けてきたリディアは、初めて拒否した。
「では、私の執務室にある三百二十七件の未決案件を、すべてお返しいたします」
返却された王家と重臣たちは、避け続けてきた決定と批判を、自分の名で引き受けることになる。
王都を離れたリディアは、湖畔の自治都市レーヴェで、丸眼鏡の書記官長オスカーと出会う。そこで始めたのは、誰かの代わりに答えを決めず、当事者の言葉を記録する「聞き書き人」の仕事だった。
だが結婚を控えたある日、リディアの名を勝手に使った立ち退き通知が届く。三村二百十八世帯の故郷を水底へ沈める計画。その裏には、書き換えられた地図と、署名を避けた者たちの都合が隠されていた。
これは、決めていない責任を返した令嬢が、自分で選んだ仕事と恋に、自分の名で署名するまでの物語。
全36話・完結済み。復縁なし、ハッピーエンド。処刑や断罪ではなく、署名と公開で責任を返す「制度ざまぁ」です。
※短編「婚約破棄、承りました。では、王家が決めずに私へ押しつけた三百二十七件の未決案件を、すべてお返しします 〜「灰色の悪役令嬢」は、もう誰かの代わりに嫌われません〜」の連載版です。
第6話までは同内容ですので、短編を読んだ方は第7話からお読みください。
URL https://ncode.syosetu.com/n5204mm/