あらすじ

初めて、三年付き合った彼の実家へ挨拶に行くことになった。 私は出発前、拓海に何度も念を押した。長ねぎや生姜、にんにくは、体質的にどうしても受けつけない。少しでも口にすると、すぐに吐いてしまう。避けるのが難しいなら、自分だけ外で食事を済ませても構わない、と。 「玲奈のことなら、ちゃんと分かってる。母さんにも伝えておくから安心して」 食卓に並んだ鶏肉の煮物や魚の揚げ物、野菜の和え物には、ねぎも生姜も見当たらなかった。 私は、彼が本当に伝えてくれたのだと思った。 ところが美代子は、にんにくも生姜も細かく刻んで煮込んであるのだと、笑いながら明かした。そんなものはただの好き嫌いで、親に甘やかされて育っただけだとまで言われた直後、胃が激しく波打ち、私は洗面所の入口で吐いた。 口をすすいで戻ると、彼女は台所から酸っぱい臭いのする残り物を二皿持ってきて、私の前へ押し出した。 「女もスーパーの惣菜も同じよ。選んでもらえるうちが花なの。年を取ってからあれこれ条件をつけていたら、最後は売れ残るだけでしょう?」 三年付き合った恋人を見ると、拓海はスマートフォンを眺めたまま、顔も上げなかった。 私はポテトサラダを大きくすくい、そのまま彼の口へ押し込んだ。 「自分で食べさせられて、やっと分かった? こんなもの、人に出していい料理じゃないって」 あの日、私はようやく理解した。 彼らが欲しかったのは家族ではない。食卓で黙って頭を下げ、この家の生活まで支え、何をされても逆らわない女だったのだ。 けれど、選ぶ相手を間違えたのは、彼らのほうだった。 ……

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小説を読もう2026/07/26
  • 現在の作品初めて義実家挨拶に行ったら彼氏の母親に残飯を押し付けられたので、速攻で彼氏の口に突っ込んでやった