あらすじ
天才少女ディシア・オルテンシアは、人の心を操る唯一無二の『人心掌握の加護』を持ち、研究国家ヨルダルクで将来を約束された神童だった。
しかし、初めて恋をした青年ライルに加護が通じず、失恋をきっかけに心は完全に折れてしまう。何日も部屋へ閉じこもる彼女の前に現れたのは、無邪気で優しい少年レクト。彼は何も問い詰めることなく寄り添い、彼女を元気づけようと、父の研究所から持ち出した貴重な『魔力揮発剤』を見せる。
その好意に心を動かされたディシアは、揮発剤を使って二人だけの小さな冒険へ出ることを決意する。しかし、足を踏み入れた危険な森で待ち受けていたのは、想像を絶する惨劇だった。
絶望の淵で、自らの無力さと向き合うディシア。そして、生涯信じられないと思っていた「誰かを想う心」が、彼女の運命を大きく変えていく。
これは、強すぎる加護を持ったがゆえ、誰も信じられなかった少女が、一人の少年との出会いを通して、本当の強さと”心”の意味を知るまでを描く、切なくも温かな前日譚。『念動魔術の極致』へと繋がる、一人の天才少女の始まりの物語。