あらすじ

泥を啜り、娼婦を抱き、幻影(まじょ)を追った。 神は不在。ここは百年戦争、血と糞尿に塗れたフランドルの泥濘。 栄誉を求め、借金で買った古びた武具と銀の拍車を頼りに海峡を渡ったイングランドの貧乏騎士トマス(19歳)と、小狡くも生への執着にまみれた従者ウィル。彼らが追うのは、戦局を覆したと噂されるフランスの「魔女」ジャンヌ・ダルクの首。しかし、彼らを待っていたのは名誉ある戦場ではなく、赤痢が蔓延する野営地、略奪、腐った麦が引き起こす集団幻覚、そして日々の糧のために身体を売る農奴の娘たちだった。 華々しい騎士道は泥の中に沈み、魔女の姿は常に数日先の幻影として揺らぐ。戦火に焼かれた修道院での冒涜的な情事や、裏切りに満ちた召使いとの愛憎の中で、主従は時にパンを奪い合い、時に背中を預け合って生き延びていく。やがて軍を脱走し、傭兵へと身をやつした二人は、血塗られたヨーロッパを流浪した果てに、灼熱のエルサレムへと流れ着く。徹底的な歴史考証と病的なまでのディテールで描く、二人の泥犬が真の「騎士」になるまでのダーク・リアリズム大河戦記。

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小説を読もう2026/07/26
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