あらすじ
【あらすじ】
かつてアレン・クロフォードは、奴隷市場や実験施設、戦場の最底辺から救い出した少女たちを励ますため、一つの作り話をした。
世界の裏には、誰にも知られていない恐ろしい災厄が存在する。
そして自分たちは、いずれ世界を陰から救う秘密結社《ノクス・アウローラ》になるのだ――と。
もちろん、すべて冗談だった。
ところが百余年後。
長い放浪を終え、外見を偽って王立魔法学院へ入学したアレンが目にしたのは、世界中の物流、金融、医療、通信、魔道具産業を支配する巨大企業《アウローラ》だった。
その裏で活動していたのは、アレンが冗談で名付けた秘密結社《ノクス・アウローラ》。
かつて救った少女たちは長寿種の美女へと成長し、世界企業の会長、軍事総司令、情報部門長、魔導研究部門長、外交責任者となっていた。
しかも、彼女たちが百年以上にわたって調査した結果、アレンが適当に考えたはずの「世界を滅ぼす災厄」まで、本当に存在していたらしい。
今さら全部作り話だったとは言い出せない。
アレンは平凡な学生を演じながら、何もかも知っている伝説の創設者として振る舞い続けることになる。
一方、アレンへ長年想いを寄せる最高幹部たちと、その専属秘書たちは、彼を伴侶にするため毎日のように策を巡らせていた。
婚姻届を決裁書類に紛れ込ませる者。
学院行事を利用して婚約者の座を狙う者。
百年前の発言を記録から掘り返して言質を取ろうとする者。
しかしアレンは、彼女たちの好意をすべて知りながら、
「あー、そうだねー。いつかねー」
とのらりくらりとはぐらかしてしまう。
世界を動かすほど有能な女性たちも、アレンの前ではいつまでも子ども扱い。
「年齢なの!?」
「またはぐらかしましたね!」
「今度こそ逃がしません!」
そうして今日も、世界の命運を懸けた秘密会議の隣で、アレンの伴侶の座を巡る新たな作戦が始まる。
これは、冗談で作った組織が本当に世界を救う存在へ成長していたことを知った最強の創設者が、正体と自分の嘘を隠しながら普通の学生生活を送ろうとする、勘違いと過剰忠誠の学園ファンタジー。