あらすじ
伯爵令嬢リーゼは、四歳の鑑定で魔力「測定不能」と判定されて以来、「無能な娘」として家族から十年以上冷遇され続けてきた。姉フィーネは輝かしい魔力量を誇る正真正銘の実力者として、家中の期待と愛情を一身に受けて育つ。婚約者オリバーの関心も常に姉に向けられ、リーゼはただの空気のような存在として日々をやり過ごしていた。
十六歳になったある日、リーゼは家格を釣り合わせるためという名目で、オリバーから一方的に婚約破棄を告げられ、家からも追放されてしまう。行き場を失った彼女を拾ったのは、オリバーの双子の弟――社交界には出ず、領地の実務を黙々とこなす青年ノアだった。
ノアはリーゼの帳簿仕事における鋭い観察眼に違和感を覚え、試しに古い鑑定魔道具を使わせてみる。その瞬間、魔道具は限界を超えて暴走し砕け散った。リーゼの魔力は「無い」のではなく、当時の鑑定器では測りきれないほど桁外れだったのだ。
姉フィーネの魔力量は生まれ持った本物の資質によるものだが、実は伸びしろのない頭打ちの器。対してリーゼの器には限界がなかった。その事実に気づいていながら、家族は姉を溺愛するあまり、妹の鑑定結果を意図的に「測定不能=無し」として握りつぶしていた――。
ノアのもとで少しずつ真の実力と居場所を取り戻していくリーゼ。しかし妹の台頭に焦りを募らせたフィーネは、かつての優位を守るためについに鑑定制度を悪用した工作に手を染めていく。
隠され続けた真実が明らかになるとき、リーゼを切り捨てた家に、静かな、しかし決定的な報いが訪れる。