あらすじ
議論で一度も負けたことのない王がいた。黙った者は嘘つきにされ、言い返した者は、その言葉を新しい罪に変えられる。この国では、正しい者ではなく、最後まで話し続けた者が勝つ。
ある冬、王は北の村から穀物を没収した。「隠し倉庫が見つかった」という発表だけで、村人は雪の中に取り残される。日没までに無実を証明できなければ、代表として送られた男の首が刎ねられる。
村の代表として王宮に立った男、セヴァン。彼は弁明を一切しない。かわりに、王が知られてはいけない事実を口にするたびに、黒い石を一つずつ床に置いていく。
沈黙する男と、話し続ける王。奇妙な尋問が始まった。王は自分が優位だと信じて話し続けるが、その言葉のひとつひとつが、自分自身の罪を証明していく。
七つの石が示すのは、王が自ら明かした七つの秘密。そしてもう一つ、まだ床に置かれていない石が残っている。
これは、沈黙が正義かどうかを問う物語ではない。沈黙は、使う者によって武器にも盾にもなる。王を追い詰めた男の沈黙と、部屋の隅で息を潜めていた者の沈黙は、同じ静けさでありながら、意味はまったく違う。
読み終えたとき、きっと考えるはずだ。自分の周りにも、話しすぎて墓穴を掘る「王」がいないか。そして、自分自身は、いつ黙り、いつ話すべきなのか。