あらすじ

海に沈みゆく町、汐溜。そこには、大潮の夜にだけ海上に現れる幻の町「鵜ノ浦」の伝説があった。  医師・汐見綾は、この町で「終い医者」として、人々の最期に寄り添い続けている。正確すぎる診断と、感情を排したカルテ。かつて母を看取った際の悔恨を抱え、彼女は自らを律するように往診鞄を手に取る。  助手のヒナ、海と共に生きる房代、そして町を救おうと足掻く人志。それぞれの想いが、満ち引きする潮のように交錯していく。  やがて綾自身の体にも、逃れられない病の影が忍び寄る。 「終い医者は、この町ごと安楽死させる儀式の司祭か」  投げかけられた問いに、彼女が出した答えとは。  これは、失われゆく景色の中で、命の尊厳と受け継がれる記憶を静かに描いた、再生と看取りの物語。  潮が満ち、灯りが消えるその瞬間まで、彼女たちの往診は続いていく。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/07/26
  • 現在の作品【短編小説】白い灯りの診療所 ~引き潮の街で、今日も最期の脈を診る~