あらすじ
――ん……おお。
これは珍しいな、と彼はぼんやりと思った。
視界に広がっていたのは薄暗く狭い部屋の一角。空気が淀むような閉塞感が漂っている。
彼はその室内を、まるで宙に浮かんでいるかのように天井近くの高さから見下ろしていた。
どうやら夢を見ているらしい。いわゆる明晰夢というやつだろう。自分が夢の中にいると理解している状態だ。
試しに手を動かそうとしたが、自分の身体は存在しないようだった。視点だけが切り取られ、定点カメラのように固定されているらしい。
いや、多少は視点を動かせるようだ。ならば移動できたりしないだろうか――と、わずかに気分が高揚しかけたそのときだった。
彼は眉をひそめた。
床に誰かが横たわっている。