あらすじ
映像編集会社で働く二十七歳の雨宮澪は、差出人のない動画を受け取った。
そこに映っていたのは、三日前に不審死した女性の最後の夜。そして映像の末尾には、まだ生きている澪自身の後ろ姿があった。
削除しても届く。スマートフォンを捨てれば古い携帯電話へ、回線を切ればパソコンへ、すべての機械を手放せば封筒に入った連続写真として。
映像を見た者だけが死ぬのではない。見なくても、捨てても、誰かに渡しても、選ばれた者の夜は少しずつ前の犠牲者の映像へ近づいていく。
澪は映像に残された小さな違いを記録し、刑事、記者、遺族たちと連鎖を追う。しかし分かるのは、止め方ではなく、次の死がどのように近づくかだけだった。
送り主も、選ばれる理由も、最後まで名乗らない。これは、到着だけが確かな記録の物語。