あらすじ
神無村(かんなむら)。そこは古くから忌まわしい迷信が根強く残る因習の村だった。
降り続く梅雨の雨の中、権力者の地主が殺害される。現場は内側から堅く木製の閂(かんぬき)が下ろされた窓のない土蔵。しかも、ただ一つの出口の前では、十五人もの大人が朝まで酒盛りの車座を作っていた。
「扉の出入りは絶対に誰も見ていない」。衆人環視における完全密室殺人である。
恐怖に震える村人たちは、この事件を『目を合わせたら呪い殺される、赤い羽織の怨霊』によるオカルトの仕業だと狂信していた。
村に戻ってきた私立探偵は、現場を冷徹に検分し、ぽつりと語りかける。 「さて、密室の脱出トリックだ。君の頭脳なら答えは導けるかな?」
話しかけた方向の空間には、何もない。
彼には「架空の相棒」を隣の空中に想定し、まるで独り言のようにペラペラと推理の会話を展開するという痛々しい奇癖があった。奇人として村人たちに距離を置かれながらも、彼が導き出した論理は、オカルトめいた密室トリックの思わぬ“死角”を見事に撃ち抜いていく。
十五人が見逃した盲点の謎と、独り言ばかりの冷血探偵による事件解決の行方は――。
ログさんの自主企画『【1万字以下】短編ミステリー集まれ』に参加しています。
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