あらすじ
普通の高校生・奏(かなで)は、ある夕暮れ、神社の階段で足を滑らせ、気づけば見知らぬ世界に立っていた。
そこは、空に二つの月が浮かび、風が色を持って吹く、優しくもどこか寂しい異界だった。
言葉は通じず、手がかりもない。ただひとつ、耳を澄ませば遠くから届く風の音だけが、彼女の名を呼ぶようにそっと肩を叩く。
やがて奏は、風を読むことを生業とする青年・暁(あかつき)と出会う。彼は誰よりも風の声を聞き、誰よりもそれを言葉にできない男だった。
奏は彼に、自分の世界の歌を教える。
暁は彼女に、この世界の風の読み方を教える。
ふたりは、言葉ではなく“音”で心を通わせていく。
だが、この世界では“風の音”がやがてすべてを変える力を持つという——。
それは、世界を救うことも、壊すこともできる、たったひとつの“こだま”だった。