あらすじ

「坊っちゃま、朝でございますわ」 僕は毎朝、エマの声で目を覚ます。 陶器のような白く美しい肌、瞳の奥の歯車。 エマは時計職人である祖父が作った人形時計で、僕の初恋相手だ。 エマとは幼い頃からずっと一緒で、成人した今でも僕のことを坊っちゃまと呼ぶ。 時計職人の仕事を継いだ僕の日課は、エナのメンテナンスだ。 エナの心臓の辺りに耳を傾けるとチクタクと針の音がする。 「私は幸せ者でございます。ただの古時計である私をこのように大切にしていただけて」 僕を突き動かすものは、職人としての矜持と、恋と執着。 千年先もエナには動き続けていてほしい。 だけど他の人には指一本触らせたくない。 「坊っちゃま、消灯の時間にございます」 エナの膝の上、猫のように撫でられながら 僕は眠りにつく。 まどろみの中、エナの唇が、僕の頬に触れたような気がした。

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カクヨム
カクヨム2026/07/25
  • 現在の作品ゼンマイ仕掛けの初恋と金色の歯車