あらすじ

「サツキは、どがん険しか場所でも、どがん厳しか季節でも耐え抜いて必ず綺麗か花ば咲かせる。爺ちゃんはな、よう手入れされた庭で綺麗に咲く花より辛かったっちゃ歯食いしばって涙ば堪えて咲く花の方が何倍も綺麗かて思うったい」——祖父はそれだけ告げると、それ以上は何も語らなかった。けれどもその言葉だけは、夏の日差しや川風の匂いと一緒になって、いつまでも私の胸のどこかへ残り続けた——。  昭和時代を生きる藤枝皐月は、祖父の言葉を胸に人のために生きることを選んだ。それこそが、自分に与えられた役目だと信じていた。しかしその生き方は、やがて彼自身の命を削り、病に倒れることとなる。  次に目覚めた時、彼が目にしたのは見慣れぬ世界。そして、辺り一面に咲く「サツキ」と呼ばれる花だった。「アムネシア」と呼ばれた異世界では「転生者」は「花」を咲かせる事で世界の均衡を保っているという。  そしてその「花」の名を人名として使えるのは、世界でただ一人——その「花」を咲かせた「転生者」だけ。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/07/25
  • 現在の作品余花