あらすじ
百年前、魔王を討ち倒した勇者アルト・レイヴァン。
彼は戦いの後、三本の聖剣を封印し、役目を終えて静かに生涯を閉じた。
しかし百年後。
聖剣は三つの国家によって掘り起こされ、戦争のための兵器として使われていた。
炎の聖剣は国と森を焼き、水の聖剣は敵国から水を奪い、風の聖剣は「二代目勇者」を生み出して人々を支配する。
戦火によって精霊の森まで失おうとした上位精霊フィオナは、眠りについたアルトを百年後の世界へ蘇らせる。
目覚めたアルトは、かつて自分たちが残した聖剣が争いを生んでいることを知り、三本すべてを破壊する旅へ出る。
だが、アルトの身体は完全に蘇ったものではなかった。
三本の聖剣に残る魂の痕跡によって、仮初めの身体を現世へつなぎ止めていたのである。
聖剣を壊すたび、アルトは味覚や体温を失い、その身体は少しずつ光へ変わっていく。
すべてを壊せば、アルトは再び消える。
それでも彼は歩みを止めない。
故郷と家族を奪われた少女リナ。
炎の聖剣を振るい、侵略こそ国を救う道だと信じる将軍グレン。
国民を守るため、敵国から水を奪う王女セレス。
勇者になるためだけに育てられた少年レオニス。
誰もが守りたいものを抱え、自分の正義を信じて戦っている。
これは、完璧な英雄が再び世界を救う物語ではない。
百年前に残した過ちと向き合い、自らの伝説と聖剣を終わらせるために旅をする、一人の勇者の最後の物語。