あらすじ
19歳にして、大陸全体の存亡をその肩に背負わされるとしたら——あなたなら、どうするだろうか。
アジア最強の覚醒功臣(ウォリアー)、高橋(たかはし)ハルキが出した答えは至極単純だった。強気な仮面を貼りつけ、筋肉が焼け付くまで鍛錬を重ね、そして……人前では絶対に弱音を吐かないこと。あの京都への異星体襲来で兄を失って以来、彼女は絶望的なトラウマと純粋な使命感だけで走り続けてきた。
——アティクルという、一人の青年が現れるまでは。
彼は東京の大学に通う、バングラデシュ出身のどこにでもいる普通の留学生だ。だが、ハルキの絶大な力に怯えず、その絶対的な地位にも媚びない唯一の人間だった。世界中が彼女を「神がかりし守護者」と崇めるなか、アティクルだけは違った。昼飯を食べ忘れるほど不器用で、一人で悩みを抱え込みすぎる「一人の友人」として彼女を見ていたのだ。
穏やかで、静かな二人だけの時間。
……だが、次元の裂け目から現れる宇宙の異形どもは、彼らに安らぎを与えるつもりなど毛頭ないらしい。