あらすじ

ある朝、俺は女になっていた。理由は知らん。 二十七階層単独踏破、通り名【単騎】の久我迅は、その週のうちに失踪者として処理された。買い取ったのは、霧生レイという他人の身分と、ゲート前の潰れかけた支援所。付いてきたのは借金と、期限切れ間近の営業許可だった。 更新には、支援衛生管理者一級が要る。明日までに。 名簿でぶつかったのは、討伐数ゼロ、撤退勧告一二一、そして三日前に二人を死なせた女だった。業界の評価は「使えない臆病者」。だが俺は、その隣の欄を読んだ。 ――六年間、こいつの担当パーティは、誰も死んでいない。 討伐数で人を測る業界。等級で素材を測る組合。壊れた物差しに弾かれた連中が、この区画には転がっている。安い。買い叩かれている。 だから、買う。 元最強が正体を隠したまま、ダンジョン前の飯屋を回す。飯と、寝床と、応急手当と、正しい値付けを売る。 「相手に選ばせろ。負けたほうが高くつくだけだ」 潰れるまで、あと何ヶ月かは数えていない。 ――値段の付け方を、教えてやる必要がある。

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カクヨム
カクヨム2026/07/25
  • 現在の作品討伐数ゼロと切り捨てられた連中ばかり買い集めていたら、いつの間にか業界最強の支援所になっていた ~正体を隠した元最強、ゲート前の潰れかけ店で値付けミスを買い叩く~