あらすじ
戦勝の恩賞の宴で、英雄と讃えられる婚約者ジェラルドは、大勢の前でわたしを捨てた。
「君は冷たい。元伯爵令嬢のくせに、算盤の音しかしない女だ」
わたしは、静かに礼をした。「元」と呼ばれることには、三年で慣れた。訂正したことは、一度もない。
彼は知らない。その「冷たさ」を、わたしが三年かけて、彼に見せるために作ったことを。
今宵この広間に、法務院の監査官が――王の名代として――立っていることも。
彼の隣で微笑む令嬢の首の石が、三年前、父が死んだ日に、この家から消えたものだということも。
父を潰した家の息子に、最高の舞台で、自分から破滅してもらいます