あらすじ
この国には、死後間もない者の魂を一度だけ呼び戻し、反響晶につないで短期間だけ話を聞く秘術がある。大きな魔力を要するため滅多に使えず、保てる期間も回答数もわずか。だが、正式に呼び戻された死者は絶対に嘘をつけない。ゆえに死霊証言は絶対――そう信じられている。
王宮の文書係ミレイユが殺され、幽霊となって王太子の婚約者エレナを犯人と名指しした。婚約は即座に破棄され、王太子は最重刑を要求する。だがエレナの前世は、国選弁護も引き受け、誰も話を聞きたがらない被告人の隣に座ってきた街の弁護士だった。
ただ一人、逐語記録を守る宮廷死霊術師エドガーだけは、彼女の問いを遮らず、死者の言葉を一字も落とさない。
エレナが求めたのは、残された回答のうち、たった三つだけ。
剣も魔法も使えない。頼れるのは、前世で培った質問と記録の技術だけ。絶対に正直な幽霊の証言を、彼女は三問でどう崩すのか。