あらすじ
戦国という乱世で、誰よりも早く「天下」に手をかけた男がいた。
三好長慶
将軍を京から追い出し、畿内に独自の政権を築いた、
知られざる最初の天下人…
だが栄華の絶頂で、身内の死が次々と彼を蝕んでいく。
長慶を支えたのは、出自すら定かでない一人の男…
松永久秀
忠義と野心の境目を持たぬこの男は、主君の求心力が衰えるにつれ、静かに、しかし確実に力を蓄えていく。
将軍暗殺、主家簒奪、大仏殿焼失…、世に「三悪」と呼ばれた所業の裏に、久秀は何を見ていたのか…
長慶は、自らを蝕む影に気づいていたのか…
そして時代は、二人の後を追うように現れたもう一人の男へと引き継がれる…
織田信長
若き日、堺で見た長慶の姿に憧れ、その手法をなぞりながら、いつしか二人を超える存在になっていく。
畿内には、諸国から野心を抱いた若者たちが集まってくる。
武田、上杉、毛利…、後に歴史を動かす者たちも、まだ何者でもなかった頃、この地で交錯していたのかもしれない…
その陰には、正体を隠した一人の女忍びが潜んでいた。
三人の男が追いかけた「天下」という蜃気楼…
手にした者…
手前で潰えた者…
そして最後にその報いを受ける者…
栄光と孤独、忠義と裏切り、コメディすれすれの軽妙さと目を背けたくなる非情さを併せ持つ、下剋上の連鎖を描く歴史長編…
彼らが積み重ねた選択の果てに、円環は閉じる…