あらすじ
両親と8人きょうだいで暮らす網代ひなは、食費も電気代も人の親切も金額に換算する。
家から1人減れば食費が浮く。修了すれば賞金を稼げる。そう計算して、養成費も寮費も無料のボートレーサー養成所へ入った。
入所初日に確かめたのは、おかわりが無料かどうか。その夜「軽い身体は得だ」と書いて眠り、翌日、女子の最低体重に1.2kg足りないことを知る。
同期の久世礼は、父も母も有名レーサー。勝っても、本人より先に両親の名を呼ばれ続けてきた。
最下位寸前の貧乏長女と、自分の1着を誰にも語ってもらえないサラブレッド。
転覆。同期の退所。6コースからの連敗。1着を取った途端に塞がれる線。マイナス0.02秒のフライングと、収入がゼロになる30日。
6年かけて2人がたどり着いたのは、真夏の浜名湖、同じ優勝戦だった。
1着1,300万円。2着500万円。3着360万円。
最後の1周で、ひなは自分が何を賭けているのかを正確に計算する。そして、その計算が答えを出さないことを知る。
長女が初めて自分のために勝ちにいく、女子ボートレース職業青春小説。