あらすじ
Web小説を書き続けて十年。
鳴かず飛ばずの会社員兼Web作家である僕が、とうとう筆を折ろうと決めた夜。
唯一ずっと感想を残してくれていた古参読者「栞」から、初めてメッセージが届いた。
「あなたが書かなくなると、困ります」
最後に一作だけ、彼女のために書くことになった僕。
異世界転生で一番大変なのは、トラックの運転手ではないか。
婚約破棄された悪役令嬢は、まず引き継ぎを済ませるべきではないか。
文字だけで水族館へ行けば、それはデートになるのか。
物語には詳しいのに、現実のことには少し疎い。
妙なところで真面目で、なぜか主人公より脇役ばかり好きになる。
そんな栞との創作相談は、いつしか小説の話だけでは済まなくなっていく。
しかしある日、彼女のアカウントが突然停止された。
栞の正体は、投稿小説を海賊版サイトへ無断転載するために作られた巡回BOTだった。
十年前、彼女は僕の作品を好きで選んだわけではない。
ただ、更新確認の順番が回ってきただけだった。
では、その後も読み続けた理由は。
僕が書くのをやめると困る理由は。
返事を待ち、寂しいと感じ、もう一度デートしたいと思う気持ちは、本当にただの不具合なのか。
売れないWeb作家と、物語を読みすぎた不器用なBOT。
「最後の一作」から始まる、文字だけのラブコメディ