あらすじ

当直明けに階段から落ち、44歳の皮膚科医は呆気なく落命する。目覚めた先は一面の「赤い世界」。顔のない神は、終わった魂を異世界へ送る役目を負うといい、望みの役割を問うてきた。勇者、賢者、剣聖——輝かしい選択肢が並ぶ中、彼が口にしたのは「皮膚科医のままで行かせてくれ」だった。剣も魔法も持たず、2度目の生も、ただ皮膚を診る者として歩みだす。 降り立った世界では、湿疹も水虫も「業(ごう)」や「呪い」と呼ばれ、俯いて生きる人々がいた。治癒魔法は切り傷や骨折は瞬く間に塞ぐが、慢性の皮膚病には手をかざそうともしない。そんな中、旅路で出会った行商人が差し出したのは、荒れてひび割れた一双の手だった——「これは呪いでも業でもなく、手の使いすぎです」 派手な冒険譚ではない。診て、考え、名前をつけ、手当てをする。ありふれた診察の一つひとつが、誰かの「世界との境界」である皮膚をそっと繕っていく。静かに沁みる、異世界診療譚。

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小説を読もう2026/07/25
  • 現在の作品転生しても皮膚科医だった件