あらすじ
「火を近づけるな。その竜、腹の中がガスでパンパンだ」
勇者が倒して放置した火竜は、討伐から三日で腐り、王都を巻き込む爆発寸前になっていた。
王国が《大浄化の勇者》として召喚したのは、前職ごみ収集員の四十五歳・黒田慎吾。剣も攻撃魔法もない彼は失敗作と笑われるが、十八年の現場経験と《分別眼》《収集指定》《超圧縮》で、神官にも勇者にも見抜けなかった危険を止める。
ただし、圧縮しても重さは消えない。焼けば毒煙が出る。混ぜれば爆発する。安全な処理には、《腐敗封じ》の魔術師リオラ、槍使いルチア、運搬のプロ、灰谷で暮らす少女――仲間たちの専門性が欠かせない。
死骸を回収するほど、慎吾はある矛盾に気づく。人口八十万の王都から出る廃棄物は、処理施設の能力をはるかに超えている。それなのに、街はなぜ清潔なのか。
魔石だけ抜いて死骸を捨てた英雄には、きっちり片づけ代を請求する。
蔑まれた仕事で人々の暮らしを守り、王国が辺境へ隠した巨大な“不法投棄”を暴く異世界お仕事ファンタジー。
死臭の魔女と呼ばれたリオラとの大人の恋も、互いの仕事を認めるところから、ゆっくり始まる。