あらすじ
最果ての灰の地で、少年は飢えをしのぐために母の肉を食べた。
彼は生き延びた。それだけだった。
白い船が降り立ち、彼を連れ去った。連れて行かれた先は、白い大理石と黄金の光にあふれた理想都市アセリカ。誰も飢えず、誰も凍えず、誰も人を食べて生き延びる必要のない、完璧な楽園。
しかし少年の体は、その清潔な食べ物を拒絶する。肺は、無菌の空気を吸うことを忘れている。そして都市の大聖堂の地下では、何かが眠りながら歯を鳴らしている。
アセリカは自らを人類の救済だと叫ぶ。だが少年は知っている。最も美しい檻も、檻であることに変わりはない。
そして今、その美しい檻の裏側で、何かが歯を研ぎ始めている。