あらすじ

高校三年の夏、主人公は六年間続けてきた「ある習慣」に終止符を打とうとしていた。七夕の夜、境内の笹に結ぶ短冊に「もう一度、君に会えますように」と書くこと。小学生の頃に事故で亡くした幼馴染・美咲への願いだった。だが不思議なことに、その短冊は毎年翌朝になると必ず消えていた。理由を確かめる勇気を持てないまま、彼は喪失とともに時間を止めて生きてきた。  美咲は明るく誰からも好かれる存在で、内向的な彼にとって特別な存在だった。何気ない日常を共有した日々は、突然の死によって断ち切られる。彼は悲しみを抱えたまま成長し、周囲に支えられながらも心の奥では立ち止まり続けていた。 そして迎えた高校最後の七夕。彼はついに真相を確かめる決意をする。祭りの後、無人の境内に戻った彼が目にしたのは、自分の短冊が消え、その隣に見覚えのある文字で書かれた別の短冊だった。「あの人が、前を向けますように」。それは美咲の字だった。  その瞬間、彼の前に美咲が現れる。彼女は毎年短冊を持ち去っていた理由を語る。それは、彼が過去に縛られ続けていることを案じ、前へ進んでほしいと願っていたからだった。再会は奇跡であり、同時に別れのやり直しでもあった。彼はようやく気づく。美咲を想うことと前に進むことは、決して矛盾しないのだと。  翌年の七夕、彼は新しい短冊を書く。「君がくれた夏を、忘れない」。それは別れを受け入れ、未来へ歩き出すための祈りだった。

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エブリスタ
エブリスタ2026/07/24
  • 現在の作品あの日、君が結んだ短冊