あらすじ
都会での恐怖を乗り越え、少しずつ前を向いて生き始めた結衣。
彼女の通勤バッグには、かつて命を救ってくれた白銀の狐のあやかし・篝が遺した「狐火の根付」が、今も静かに揺れている。
しかし平穏な日々は長く続かなかった。
職場では誰かの視線を感じるようになり、無言電話や不審な写真が届き始める。そしてある夜、誰もいないオフィスの複合機から、大量の自分の写真が印刷される怪現象が起こる。
「……これ、ホラーじゃん。」
やがて恐怖は現実となる。
結衣を執拗につけ狙っていたのは、爽やかな笑顔の裏に狂気を隠した同僚・影山だった。
暗い部屋に貼り巡らされた盗撮写真。
逃げ場のない密室。
包丁を手に迫るストーカー。
それは怪異よりも恐ろしい、人間の悪意だった。
絶体絶命のその瞬間――。
バッグから落ちた白銀の狐の根付が眩い光を放ち、消えたはずの篝の力が目を覚ます。
白銀の狐火が部屋を満たし、巨大な狐の幻影が悪意だけを焼き払う。
本当に恐ろしいのは、人間か、それとも怪異か。
これは、人間ホラーの果てに待つ、あやかしの優しい奇跡を描いた現代和風ファンタジー。
白銀の狐は、大切な人を守るため、漆黒の夜に牙を剥く。